呑まれてしまいそうなほど真っ暗な空。不気味なほど白い雪の上で、追いかけっこをする男女がいた。
追いかけるのは男。全身を雪のような白い装束を身に纏い、楽しそうに口を歪めて女を追いかける。ふわりと上着が風で舞い、その姿は優雅で白鳥が翼を広げて飛んでいるかのようだった。
逃げるのは女。厚手のコートと長いブーツ、今にも泣き出しそうな顔で逃げていた。足がぐちゃぐちゃになるほど乱暴に足を前へ動かし、今にも足がもつれてこけそうだった。
もちろん、捕まるのは時間の問題で――。
女は男に腕を掴まれ、とうとう前へ走ることができなくなった。ずるりずるりと、林の方に引きずられ、やめて、嫌だ、と悲鳴を上げる。助けはこない。
林の中に入ると、男は上着の装飾である鎖を取り、大きめの木に女の腕を縛りつけた。
「きみは運がいいなぁ」
そこで女はやっと男の顔を見た。瞳は熱くなってとろとろになった蜜の色。陶器のような肌は生気を感じられないほどに白く、目鼻は整いすぎていて、まるで人形のようだった。
「いや、この場合は俺の方か」
コートのボタンを外し、スカートを脱がす。タイツも下げようとし、男は僅かに眉を寄せ「む? ……難しいなぁ」と呟くとビリビリと容赦なく女のタイツを刀で切った。
「きみが審神者で助かった。今日は何も見つからなくてな」
女の目からは涙がぼろぼろと流れ落ちた。男はするりと柔らかい太腿に指を滑らせる。
「悪いな、いただくぜ?」
男の笑みを見た瞬間、女の体はぶるりと震え背筋に悪寒が走る。肌を這う指は冷たかった。冷たすぎて、痛いくらいだった。
助けがこないと悟った女は声を出すのを諦め、唇を噛んだ。この行為が終わるまで、耐えることが精一杯の抵抗だった。
赤い肉の果実に冷えた指が無遠慮に入る。何かを掻き出すように指を動かし、あいた指で肉芽を押しつぶした。がくん、がくん。女の腰が大きく震える。男は指を離し、目尻を下げて微笑む。そして下半身の衣類を下にずらし、膨れ上がった肉の凶器をまだ解れきっていない果肉に当てた。
「すまない、もう待てそうにないんだ。殺されるよりマシだと思ってくれ」
ぐちゅりと肉棒を刺す。薄い膜は呆気なく破れ、最奥に近づいていく。
「い、いた……い……」
「もう少しだけ辛抱してくれ。すぐに終わるようにするさ」
そう言ったのに、男は何度も何度も凶器で刺した。皮にも覆われていない肉を抉るように、強く、貫いていく。暴力的な快楽が体中を駆け巡り、それを耐えようと女は苦悶の表情で、呻き声を漏らす。
股からは赤い血がぽとりと落ち、男の白い服を赤く染めた。全身が真っ白な男にこの赤い斑点はよく目立つ。
それは、餌を食べる鶴に似ていた。