勝手場に行くと内番姿の鶴丸がいた。
甘い匂いに誘われるように彼の背後に立つと、湯煎でチョコを溶かしている。
「これ……どうしたの鶴丸」
「ん、主か。ははは、ばれちまったか」
少し恥ずかしそうに鶴丸ははにかんだ。頬が少し赤いのは火の前にいるからか。
「今日はポッキーの日らしい。君に手作りのポッキーを食べさせたくてな、今作っていたのさ」
「つ、鶴丸……」
普段、料理はあまりしない鶴丸が私の為にわざわざポッキーを作ってくれることに感激した私は言葉が出なかった。
「もう少しでできそうなんだが……さすがにここだと恥ずかしくて君に食べさせられないな。君の部屋に後で行ってもいいかい?」
「う、うん」
鼓動がどくんどくんと痛いくらいに鳴った。鶴丸の囁くような甘い声をゆっくりと噛みしめる。耳が熱くなりそうだった。
「それじゃあ私、部屋で待ってるから。その、楽しみにしてる……」
まだお仕事も残っているから、鶴丸が作っている姿をずっと眺めるわけにもいかない。
伝えると、鶴丸は天使の様に目を蕩けさせて「ああ」と頷いた。
……こんな幸せな事ってあるだろうか。
私は今にもステップしてしまいそうなほど軽い足取りで部屋へと戻った。
政府に渡さなければならない書類なんてさっさと終えて、鶴丸と甘い一日を過ごそう。
――そう、思っていた。思っていたから、仕事を済ませた。それなのに。
「……ね、ねぇ鶴丸、これは」
私は目の前のモノからそっと目を逸らした。唇に触れるのはまだ少しあたたかくて柔らかいチョコレート。甘い味のする、チョコレート。けれど私は素直に喜べない。
それは肉でできた極太のポッキーだった。歯をつきたてて、食べることのできないポッキー。鶴丸が作った、鶴丸の、ポッキー。
……それは政府への報告書を早めに終わらせ、鶴丸が来るのを今か今かと待っている時のことだった。温かくてなめらかなチョコレートが入ったボウルを片手に鶴丸は現れたのだ。何でボウルを? と疑問符を浮かべていると、鶴丸は帯を解きボウルの中にあったチョコを自身に塗りつけ、それを鶴丸は私の唇に突き付けたのだ。
「聞いたぞ。ポッキーゲームというのは股間にチョコを塗って好いた女子に根本まで食べるか試すゲームらしいな」
「……」
絶句した。
「恋仲の人間がそういうことをする日らしいじゃないか。君はいべんと好きだったからな……喜ぶと思ったんだが、い、嫌か」
鶴丸に、悪気はない。鶴丸に嘘を吹き込んだ『誰か』が悪いのだ。怒ってはだめだ、落ち着かなくては。ここでちゃんと言わなくては、鶴丸の勘違いを解くのはたぶん難しい。
「き、きいて鶴丸、恋仲の人はこ」
本当のことを教えようとすると突然、鶴丸の腕が私の頭の両端をおさえ、ぐっと前へと引き寄せた。
「んぐっ!?」
「……すまない。そうやって、息をふきかけるように喋られると俺も我慢できないんでな」
口の中いっぱいに広がるチョコの味。まだ固まっていないせいか溶けるのはすぐだった。
「ほら、主……君なら、俺を奥まで食べてくれるよな?」
「……ふ……うっ、ん」
「はぁ……そうだな、先に周りについたチョコを舐めとらないと、咥えにくいな」
「んんんっうっんっ」
ぐちゅ、ぐちゅ、と私の唾液とチョコが混じって卑猥な音がした。口を動かすのが難しく、喉から悲鳴が漏れる。言葉らしい言葉は出せない。
鶴丸は私の頭を掴み、引いたり押したりを繰り返す。私がもう苦しいと舌で抵抗すると、深く咥えた状態にして動きを止めた。
そんなことをしていると私の口の周りはチョコで汚れてしまい、それを鶴丸の指が拭う。喉に肉棒のポッキーがかすめる度、私はむせて涙が出そうだった。
しかし、何度も鶴丸を咥えていると、私の頭は白いもやのようなものがかかり、理性がとびそうになった。鶴丸のポッキーがまるで自分の中を突くような感覚に、下着がじんわりと濡れていく。
鶴丸はぺろりとチョコのついた指を舐めとり、また私の頭を動かし始めた。
しばらくすると鶴丸のポッキーはどくんと脈打ち、チョコとは違う味が口の中に広がる。飲まないと、と思う。純粋に恋仲の人間がすることなんだと勘違いしている鶴丸の為にも。だから私は自分から鶴丸のポッキーに食いついた。
喉に当たってもいいから、深く、深く彼を食べないと。もっと、もっと。周りに付着したチョコを吸い取って、最後まで食べなくては。
だってこれはポッキーゲーム。鶴丸が頑張って用意した私への贈り物だから……。
「君、あんまり無茶は……」
「ん、んんっふっ……〜っ!」
こくんこくん、と喉を上下させて私は鶴丸の精子を飲みほした。唇は根本に触れている。できたよ、と咥えたまま目線を上にあげると鶴丸と目があった。彼は顔を真っ赤にして、口をはくはくと動かしていた。
「すまない、気持ちよくてつい出してしまった」
じゅぷり、と音をたてて私はポッキーから口を離した。肉棒についていたチョコはなく、かわりに唾液でべとべとになっていた。
「大丈夫……」
「それでその、君がよければ君の中に入れてもいいか」
「うん。したい、鶴丸」
私は股を広げて鶴丸を受け入れる。ぐちゅぐちゅに濡れた私のナカは解す必要もなく、私がずっと待っていたものがすぐに私の穴を満たした。